2011年05月25日

愛の人

先生のひとりゴト  「愛の人」
(この手記は5人の仲間とインド・ネパールを旅したときのものです)
 南インドのプッタパルティを離れた後、私たち一行はネパールの首都、カトマンズへと向かいました。
 ネパールはヒマラヤの麓にあり、人々がどことなく沖縄にも似ている安心出来る地でもあります。しかし、政治の不安定さもあり、経済発展が滞っていて、貧しい人もたくさんいます。ちなみに教員の給料が1〜2万円程度ということからも国の実情をはかることができるでしょう。

 ホテルに着いた後、私たちはタミール地区へと向かいました。そこは、小さな街並みに観光客のための商店街やホテル、そして世界遺産のお寺などが立ち並ぶ活気あふれる街でもあります。

     そこに向かう途中の出来事でした。

 国の施設の前の道端で物乞いをしているハンセン病の方がいました。私には男性か女性かもわかりませんでした。ただ、この病気の特徴でもある顔の変形からハンセン病者であることはすぐにわかりました。

 私のあとに続く、その方をみつけたM子さんがすぐに駆け寄りました。しゃがんでその方と同じ目線にたった彼女は、その方の指のない手をしっかりと握り締め、「がんばってよ」と何度も日本語でエールをおくりました。

 その方も嬉しそうにM子さんと同じくらいの素敵な笑顔で微笑みをかえしました。

 そこには、保護するものとされる者、与える者と与えられる者、病気であるか否か、国、性別の違い、それらすべてを超えたものがありました。
二人のほんの数十秒の触れ合いの中にそれが確かに存在したのです。
 それはあまりにも素晴らしく『永遠』ともいえる時間でした。開かれた心と心、短くとも『愛』あるところには言葉では伝えきれないものがあるのです。


 私のこの旅の中で最も印象に残る一シーンを皆さんにお伝えしました。


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Posted by 比嘉正央 at 13:01│Comments(0)先生のひとりゴト
 
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